木工の家守り京都家禅の取り組み
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大工の知識
京の町とは不思議な町
京都市内は大規模な農業地がなく資源も少ない町。
すさまじい豪雨があれば三方が山に囲まれた盆地に大量の水が流れてくるなど
天災地変も多く、そのために疫病が流行することもありました。
気候も湿度が高く、ムシムシする夏、底冷えする冬
その湿気により物は腐り、しろありなどの害虫が繁殖。木造建築には不向きな町。
なぜ、そのような条件の町に「都」が置かれ「京」が1200年の歴史を作ったのか
社寺仏閣、町家の木造建築が今も残るのは人々の知恵と知識によるもの
手に職を武器に生きてきたのです。
京都内での資源、多方面から送られてくる資源に新しい付加価値を与えることで勝負全ての職人の手による産物と言えます。
京都で仕事をする大工として昔ながらの知恵と知識はもちろんのこと、
新しく付加価値を与え未来へとその知識を育てていく使命があります。
釘一本打つにあたっても、外部に打ち付ける釘であれば少し上向きに打つ、
水が建物側に流れない工夫。
同じ材料を使うにもより美しく見える工夫。
当たり前のことですが、ひとつひとつの仕事を知恵と知識で丁寧に施工します。
何気ない工夫が建物を長く使ってお頂けると考えています。 -
大工職人を社員として育成
理想の家創りは、人の手によって形にしていきます。
造り手がお施主様の直感、想いを受け取り、「伝統とこころ」込めて造るからこそ、理想の家は「かたち」となり完成します。
そんな家創りの現場で中心となるのが大工職人です。
しかし、親方に弟子入りして修業するかつての徒弟制度が時代と共に廃れつつあることもあり、
次世代を担う大工は減少。職人不足が深刻な問題になっています。
「京都家禅」では安定した環境の中で大工としての幅広い知識や技術はもちろん、人間としての成長も見守ります。
いつの時代も対応できる多能工大工として「家創り」「家守り」を将来へ引き継ぎたいと考えています。 -
家守りの伝統
昔は町にそれぞれの大工がいて、その地域の家はそこに住む大工が建てていました。
また、家を建てたあとのメンテナス等の管理をします。
そのことを「家守り」と言います。
自ら建てたお家はもちろんですが、そのほかのお家であっても的確なアドバイスをします。。
家守りは未来につながる大切な役割です。
この言葉はまさに「京都家禅」が目指すところそのものです。 -
ユネスコ無形文化遺産「祇園祭」
京都家禅では「京都祇園祭」に作事方、車方、音頭方として参加させていただいています。
組立作業では、釘を使わず縄だけで木材を固定する「縄がらみ」と呼ばれる伝統技法を駆使し、組み立てられていきます。
皆さんは技能職という職種をご存知ですか。
技能職とは、長い歴史とともに培われてきた伝統ある技術を持つ専門職のこと。
その作り手の「伝統とこころ」を込めた“手仕事”による作品はこころを豊かにし、また生活に豊かさを実感させてくれます。
“手仕事”の生み出す「力」を知ることができる祇園祭。
京都家禅は参加し続けることで、祇園祭からいろんなことを学んでいます。 -
京町家
都の家は間口が狭く奥に長い「鰻の寝床」と言われる敷地に中庭やうり庭を設け、建て込んだ町中でも快適に過ごす工夫がされていました。京町家だけでも年間1000軒以上のペースで失われていく現状。
京都で仕事をしている私たちにとって考えなければならない深刻な問題です。
築年数が古い町家は機能面・設備面そして地震に対して不安があります。
その不安を専門知識を持つ設計士と木の心を知る大工でひとつひとつ克服し、リノベーションすることで問題を解消します。
時代に合わせ住み続け、暮らしを楽しむ。
その流れの中で私たちも影響を受け進化しています。 -
探究
「京都家禅」では定期的に建物の見学、工場見学、視察などを行います。
社寺仏閣、京町家などの昔ながらの建物や近代建築、近年の住宅や現代建築を見学に行きます。
普段は工務店が気にしなくてもよい分野から、時代に合った技術的なことまで、深く広く欲張りに歴史や美を学び、技術を探究。
目で見て肌で感じることを常に意識し、知識と教養を培って、京都家禅のレベルアップを図っています。
常にアンテナを張り、昔ながらの仕事を知り、また最新の技術も知ることで日々の仕事に役立てています。 -
古民家
先代が建てた家、子供の頃の思い出がつまった民家。
大切に住み続けたいというお施主様も多数おられます。
古民家の調査・再生にも取り組み、伝統構法、素材の使い方などの知恵と技術を学ばせて頂いています。
リノべーションすることで新しい価値を加え、思い入れを後世に繋ぎます。