祇園祭2024その余韻
ZEN大工職人のブログ
今年も祇園祭山鉾組み立てに参加してきました。
櫓(やぐら)の縄がらみはもちろんですが、
数多くの工程が手作業で行われます。
今回は神木と松の接続作業について。
山と鉾の違いはてっぺんに木が生えているか、
独特のシンボルが掲げられているかで大まかに見分けることができます。
『山』は屋根に木(松)が生えているもの。
『鉾』は鉾の中心にそびえ立つ木にシンボルが掲げられているものです。
全ての山と鉾がこの形に則っているわけではありませが、基本的にはそれらの違いで見分けます。
北観音山は『山』ですので、松を取り付けます。
『神木』と呼ばれる、昭和後半に製作された部材の先端が半分削がれて加工してあります。
(樹種は目の細かさ、香りから尾州檜と私は思います。多分。。。)
今年付ける松の元口を同じように鋭角に半分削ぎます。
まずは松全体の眺めて通りを見ます。この時、枝の生え方を見て、建った時の枝ぶりをイメージして芯を決めてます。そして墨付けです。
手斧(チョウナ)や斧(ヨキ)を使い、
加工します。仕上げはカンナで。
そぎ継ぎの継手の加工です。
寸分違わぬ加工を施します。
大工さんの腕の見せ所です。
加工完了後、鉄製のリングを入れておきます。
そこに三角の形状をした樫の楔(クサビ)を打ち込みます。
こうして、ある程度の固定が完了です。
そこに、上から縄で編んでいき、一体のモノとします。
櫓に松を建てる方法。
櫓を倒し→神木を取り付ける→櫓を元に起こす
単純ですが、
先人の知恵がたくさん詰まった作業です。
宵山、巡行もいいのですが、
組み立て作業を見学するのも祇園祭の楽しいところだと思います。
今年も大きな事故もなく山鉾組み立て、巡行、解体も終えることが出来ました。
と、同時に私の中では祇園祭まで後360日のカウントダウンが始まってます。
このブログを書いたのは
上田 耕太郎
・二級建築士
大工仕事の傍ら毎年祇園祭先祭りでは「四条傘鉾」、後祭りでは「北観音山」作事方の仕事に携わる。