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「熱を断つ」と書いて断熱 -Part1-

一級建築士ブログ

断熱とは?

断熱とは…
「熱を断つ」と書いて断熱なのですが、断熱の定義は何でしょうか。
建築・住宅においては、熱を伝わりにくくして「夏は涼しく、冬は暖かい」状態を維持することを指します。
断熱によって夏は室内の温度が上昇するのを防いで、冬はその逆で冷気から室内を守ってくれるという事です。
快適な暮らしをしていくためには大切なことなのかな…という事はお分かりだと思います。

暑いとか寒いなら、冷暖房すればいいのかな…と思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。

なぜ断熱した方が良いのか、断熱性能が良くないとどうなるのでしょうか。

熱の伝わり方

熱の伝わり方には3種類あります。

伝導:物が接触している接触面から熱が伝わる現象
対流:空気が動くことでその空気の熱が伝わる現象
放射(輻射):熱を伝える物質(媒体)が無いのに、離れたところに熱が伝わる現象

これら3つの作用によって、人は暑いとか寒いとかということを感じてます。

人体に作用する温熱環境の構成

温熱の要素は6種類あります。

環境要因の4つ

室温:暖冷房器具をつけたり、カーテンで日射調節したり、窓の開け閉めをして通風する。
湿度:冷暖房・除湿加湿器、通風、洗濯物の室内干し、調理によって水蒸気の発生。
気流:エアコン・ファンヒーター・扇風機、通風など。
放射:窓から入ってくる日射の調節、オイルヒーターなどの採暖器具。

人体側要因の2つ
着衣:衣服を脱いだり着たりして調整。
代謝量:寒いときに動くと体が温まる。

この6種類の要因については、「住まい手」自身が程度の差はありますが、任意に調節できるものがほとんどなのですが。
図の中で一つだけ、「住まい手」よって簡単に調整が出来ない項目があります。赤い文字の部分の周囲表面温度です。
表面温度とは、床・天井・壁・窓の部分の温度です。
これらの部分の温度が「体感温度」と言われるものに大きくかかわってきます。

体感温度は「室温」と「周囲表面温度」で決まる

「体感温度」というものは 実際の「暑さ」「寒さ」を決定づけるもので、室内の温度と周囲の表面温度の平均で表されます。冬場に同じ室温の場合、体感温度が低ければ寒く感じますし、夏はその逆で体感温度が高ければ暑く感じます。これらの部分…床、壁、天井、窓部分 の断熱性能が高くなるほど、その表面温度は室温に近づくということが言えます。表面温度と室温の差が大きい状態というのは体に負担がかかるだけでなくて、お年寄りには脳溢血などのリスクもあります。そして部屋の中は暖かいのに、お風呂場は震えるほど寒い住宅は、ヒートショックを引き起こしやすい環境といえます。夏場には熱中症をおこしてしまうこともあります。断熱化は、このような健康被害に対するリスクを軽減することができて、快適に暮らすことができます。さらに、暖冷房器具のエネルギー消費量も減らして冷暖房費を削減することもできます。

まとめ

今回は 「熱を断つ」と書いて断熱 -Part1-として
・断熱とは?
・熱の伝わり方
・人体に作用する温熱環境の構成
・体感温度は「室温」と「周囲表面温度」で決まる
以上についてお伝えしました。
Part2では日本の住宅環境についてお伝えしたいと思います。

このブログを書いたのは…

関 清一郎 一級建築士
生まれも育ちも京都市内
趣味はトレイルランニングとロードバイク