「熱を断つ」と書いて断熱 -Part3-
一級建築士ブログ
断熱等性能等級とは?
-Part1-からの続き。
-Part2-からの続き。
断熱性・省エネ性の高さを表す指標で 「断熱等性能等級」というものがあります。
断熱等性能等級とは「住宅性能表示制度」の中で、建物の断熱性能と省エネ性能をランク付けするものです。そのランク付けってどんなものでしょうか。
2000年に「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」が施行され、その中の大きな柱として「住宅性能表示制度」が設けられました。その「住宅性能表示制度」のなかで、省エネ性能を表す等級です。
当初、設定された等級は1から4までです。2022年4月までは最高基準でしたが、決して十分というわけではありませんでした。2022年4月に等級5が追加され、同じ年の10月に更に等級6と7が追加されました。住宅の省エネ性能のさらなる向上が促進されているようですね。
等級が1から7までたくさんありますね。しかし、昨年まで最高基準だった等級4が、なんと2025年4月より最低基準になってしまいます。
今まで建物の省エネ性能の決定権は建築主側にあったのですが、国が日本社会全体の省エネ促進に取り組む中で、最低基準が義務化されることになりました。つまり2025年以降に建てられる建物は、等級4が最低基準になるという事なんですね。
では、この等級は何を基準に分かれているのでしょうか。
断熱等性能等級はUA値で区分
断熱等性能等級では、必要なUA値(外皮平均熱貫流率)が定められています。UA値は室内と外気の熱の出入りのしやすさを表したものです。建物の内外の温度差を1℃とした時に、建物の内部から外へ逃げる単位時間あたりの熱量を外皮面積で割ることで算出します。つまり、UA値が小さいほど熱が出入りしにくく、断熱性能が高いということになります。
断熱等性能等級のUA値は地域によってちがう
このUA値の基準値なんですが、各地域によって値が異なっています。
日本列島は南北に細長く地域によって気候条件が違いますので、全国各地域の気候条件に応じて8つの地域に区分されています。寒い地域ほどUA値が厳しく設定されているんですね。
各地域のUA値
日本列島を8つの地域に区分しているのですが、京都府は5地域と6地域の二地域にまたがっており、京都市は6地域になります。
表のように寒い地域ほどUA値が厳しく設定されている為、同じ等級でも地域区分によってUA値はかなり異なっています。
等級が4~7まであるのですが、どれぐらいの等級にするのがよいのでしょうか。高い方が良いように思いますが…
まとめ
今回は 「熱を断つ」と書いて断熱 -Part3-として
・断熱等性能等級とは?
・断熱等性能等級はUA値で区分
・断熱等性能等級のUA値は地域によってちがう
・各地域のUA値
以上についてお伝えしました。
Part4では断熱等性能等級は高い方が良いのか、についてお伝えしたいと思います。
このブログを書いたのは…
関 清一郎 一級建築士
・一級建築士
生まれも育ちも京都市内
趣味はトレイルランニングとロードバイク