見学会・イベント お問合わせ 資料請求

ブログ 窓のはなし

一級建築士ブログ

家を構成する部分として欠かすことのできないパーツである窓。
住宅の快適さに大きく影響する部分です。
そんな窓の材質や性能について、ご紹介したいと思います。

窓とサッシ

「窓」と「サッシ」 どちらもよく聞く名称ですが、窓とサッシは何違うかおわかりでしょうか。
窓は 「枠」(窓を壁に固定する部分)+「框」(ガラスを固定する部分)+「ガラス」で構成されています。そのうち 「枠+框」 の部分をサッシと言います。
つまりガラスがはまっていない状態がサッシで、ガラスがはまっていると窓という定義になります。

サッシの材質

現在日本で流通している主な住宅用サッシの材質の種類は4種類あります。価格と性能は商品によって違いはありますが、一般的には下記のような順になります。


低 アルミサッシ➡アルミ樹脂複合サッシ➡樹脂サッシ➡木製サッシ 高


それぞれの材質の特徴ついてご紹介します。

アルミサッシ

高度経済成長期の頃から急速に普及し日本の住宅の窓として長年に渡り使用されてきました。ピーク時には90%以上もあった普及率は、現在では4%程度まで下がっています。

アルミは軽くて丈夫で価格も安いのですが熱伝導率が高いため熱を伝えやすく、夏場は気温が高くなると暑くなり、冬場外気温が低いときは結露を起こしてしまいます。
 

                         

アルミ樹脂複合サッシ

屋外側がアルミで、室内側が樹脂で作られています。
屋外側に軽くて丈夫で耐候性が高いアルミを使用しているので、スッキリとしたデザインが可能になります。
室内側は熱伝導率の低い樹脂を使用し断熱性を高めているので結露しにくくなります。
普及率はアルミサッシを大きく超える63%近くになっています。

樹脂サッシ

熱伝導率の低い樹脂で作られるため熱を伝えにくく断熱性が高いのが特徴です。熱を伝えにくいので結露も生じにくくなります。
樹脂はアルミに比べ強度が低いので、強度を保つためアルミサッシやアルミ樹脂複合サッシに比べ、サッシ枠は太くなってしまいます。
普及率は徐々に上がってきており33%です。

木製サッシ

温かみのある木の風合いで意匠性があり樹脂サッシと同じく断熱性能も優れていますが、木は紫外線や風雨の影響で劣化しやすく、劣化を防ぐには3年~5年毎に塗装などの定期的なメンテナンスが必要になります。定期的なメンテナンスを施すことによって、他のサッシのように長く使用することができます。
普及率はわずか1%未満と低く、木製サッシの普及はまだまだ先になりそうです。





                出典:YKK AP
                  :日本サッシ協会 
                   令和4年住宅建材使用状況調査

ガラスの種類


単板ガラス

1枚のガラスで断熱性が低いため、最近ではあまり使用されなくなってきています。



複層ガラス

2枚のガラスを組み合わせることにより断熱性を高めています。



Low-E複層ガラス

複層ガラスの中空層側に金属膜をコーティング。断熱タイプと遮熱タイプがあります。
断熱タイプは、室内側のガラスの中空層にLow-E膜をコーティングし、外からの日射熱を逃さずに室内の温度を保ってくれます。冬場の断熱性を重視したタイプです。
遮熱タイプは、室外側のガラスの中空層にLow-E膜をコーティングし、断熱タイプとは対照的に、外からの日射熱を防いで室内の温度の上昇を防いでくれます。夏場の遮熱性を重視したタイプです。



トリプルガラス

3枚のガラスを組み合わせ、さらに断熱性を高めています。



サッシの性能が上がるとともに使用されるガラスも高性能なものになってきています。

まとめ

最近では省エネ意識の高まりもあり、アルミサッシよりもアルミ樹脂複合サッシや樹脂サッシが普及してきています。初期費用は上がるのですが、結露を抑えられ快適性が高まったり、断熱性が高いので冷暖房費の節約効果があります。トータルで考えると価格の高い高性能な窓を使うことは、決して贅沢な選択ではないのではと思います。

このブログを書いたのは…

関 清一郎
・一級建築士
・宅地建物取引士
生まれも育ちも京都市内
趣味はトレイルランニングとロードバイク