
ブログ 住まいと健康
一級建築士ブログ
「生活」習慣病
「健康に気をつける」と聞くとどのようなことが思い浮かぶでしょうか。
おそらく「バランスの良い食生活」や「喫煙を避ける」、「適度な運動」などが思い浮かんだのではないでしょうか。
これらは生活習慣病を予防するために非常に重要なことで、普段から意識されている方も多いかと思います。
これ以外にも「生活」習慣病というというくらいなので普段の生活がとても大きな影響を与えます。
このように考えると「住まい」の質が生活習慣病に関わっていてもおかしくありません。
実際に近年の研究で住まいと健康の影響について多くのことがわかってきていますのでいくつかご紹介していきます。
その①
まず一つ目は脂質異常症です。
いわゆる血中コレステロール値の異常のことで、心筋梗塞などの重大な病気の発症につながるとされています。
国土交通省補助事業 スマートウェルネス住宅等推進調査委員会 第7回報告会によれば、
寒い住宅で過ごす人よりの暖かい住宅で過ごす人の方が血中コレステロール値が低いことが有意に示されています。
血中コレステロール値を下げるには食事制限や運動といった方法が一般的ですが、この調査からみると住宅の断熱を強化することも有効な手段かもしれません。
図表1 出所:国土交通省補助事業 スマートウェルネス住宅等推進調査委員会 第7回報告会 講演資料, p.146

その②
続いて睡眠の質についてです。
近年睡眠の重要性を耳にすることが増えました。また日本人の平均睡眠時間は他の先進国に比べて短いことも指摘されています。心身にとって重要な睡眠ですが、やはり住まいと大きな関連があるようです。
同じく報告会によれば寒く乾燥した部屋は睡眠の質を低下させるという調査結果が出ています。これは布団の中が暖かければ良いというものではなく、室温や湿度が重要であることを示唆しています。よく冬は寒くてなかなか起床できないことがあると思いますが、もしかしたらそれは睡眠の質が悪く、知らず知らずに睡眠不足になっているのかもしれません。
図表2 出所:国土交通省補助事業 スマートウェルネス住宅等推進調査委員会 第7回報告会 講演資料, p.58

その③
最後に子供の疾病について述べていきます。
昔から子供は風邪の子と言われてきましたが本当にそうでしょうか。
室温が16.1℃以上のリビングで過ごす子供はそうでない子供と比べて喘息である確率が半分になります。
また湿度40%未満のリビングで過ごす子供はそうでない子供に比べて中耳炎である確率が1.5倍にもとの研究があります。このように暖かく快適な住まいというのは子供の健康にとっても重要な要素であると言えそうです。
図表3 出所:国土交通省補助事業 スマートウェルネス住宅等推進調査委員会 第6回報告会 講演資料, p.189

私たちが想像しているより住まいと健康というのは密接に関わりがあるようです。
高断熱高気密の家というのは省エネルギーであり、体感的にもとても心地の良いものです。さらに長期的な視点で見た時には健康そのものに大きく寄与するのです。きちんとした家づくりを考えることは健康も含めた暮らしそのものをきちんと考えるということなのかもしれません。
