ブログ 愛着のわく住まいを建てる
一級建築士ブログ
長く住まう 愛着の湧く家
ZENの家にお住まいのお施主さまの所へ点検などでお伺いすると、各々生活スタイルはちがいますが、共通して家に関心・愛着をもってお住まいになっておられるのを感じとれます。
家を良い状態で維持していく為には、家に愛着が湧いているかどうかというのはとても大切。
そういう目線で考えると、設計の段階から住み手も一緒に参加して、想いを込めてつくるZENの家の住み手は自分の家への愛着度が高いのだと思います。
ZENでは、使い勝手や維持管理のしやすさ、断熱・気密や耐震性など、専門家としての知識や経験と住み手の価値観を掛け合わせることで一軒一軒異なるコンセプト・テイストで家づくりをしています。
テイストは十人十色ですが唯一共通してご提案しているのは経年変化を感じていただける木の良さをどこかに取り入れる事です。
木の家の良さ
物質的豊かさが高度な現代の日本に於いて、今も変わらず木の家が好まれるのははなぜでしょう。
木には手入れをすれば年を経るごとに艶、風合いが出てくる魅力があり、温もりを感じます。
そして、なぜか年々愛着が湧いてくる素材だというのが大きなポイントではないでしょうか。
リノベーションや改修の依頼をいただき、古民家や町家を見ていると同じ50年経ったお家でも住み手がどれだけ愛着を持って住んでおられたかがよく分かります。
ただ単にの古びてしまった家と手を入れる事で経年変化の味が出ている家。
長く住み、そして、住み継いでいくには愛着の湧く家をつくる事が大切です。
愛着の湧く家をつくる上で大切なこと
では、長く住み、愛着の湧く家をつくる上で大切なことは何か。
設計をする際に心掛けている事をいくつか挙げてみます。
■ ライフステージや家族構成の変化に対応可能なフレキシブルな造りとすること
前提として、住み手と造り手で十分な対話をし、ライフスタイルにあった住まいを設計する事は勿論ですが、ひと昔前の家は家族構成の変化や暮らしの変化があった時には、相当額の費用をかけて大掛かりなリノベーションが必要なのが当たり前でした。
今の時代は物価高や家に掛かけるランニングコスト的にも、ライフステージの変化のタイミングで大きな費用負担が掛からないように、建てる時点である程度ライフステージの変化を想定した間取りを検討しておく事が大切です。
■ 一過性の流行にとらわれず普遍的なデザインを主とすること
SNSなどの普及もあり、住み手が家づくりの様々な情報を集められるようになった事で住宅業界全体のレベルは底上げされた半面、
家のデザインについては似た家が多く且つ、一過性のトレンドに影響を受けた物が多くなってしまった様に感じます。
長く住む家だからこそ、建てる時点の年齢の好みだけでなく、普遍的な価値観・感覚として、心地よく・暮らしの質を少し上質なものにしてくれるものであるべきです。
そんな、心地よい上質な肌着のような住まい。自分らしい時間が過ごせる住まいを設計しています。
■ ただ古びていくのではなく経年変化を愉しめ、維持管理やメンテナンスのし易い素材を選定する
完成した瞬間が一番格好が良く、10年20年後に古くなったからリフォームで奇麗にしようという考えになる素材の選定は可能なら避けたい所。
もちろん、紫外線や雨風の影響を受ける外部の仕上材や水廻り設備などについては必要なタイミングでメンテナンスはするべきですが、
内部の仕上材については経年変化が味になってくる素材や維持管理のし易い素材をお勧めしています。
木の家を建てると環境保全に貢献できる
余談ですが環境的側面からも木材を使うことは大切です。
豪雨や土砂崩れなどの自然災害の際にも問題になりましたが、林業が衰退し、間伐や定期的な伐採・植樹のされていない森は保水力が少なく地滑りを起こしやすい山となってしまいます。
また、高樹齢で光合成によるCO2削減能力も低い木だらけの森になることも問題です。
家を建てる分の木を伐採し、また植樹して育てる。
このサイクルがスムーズに循環していく仕組みを地域毎に大切にしていくというのは昔はできていたこと。
木の家を建てるという事は自然の恩恵を受けながら暮らすと同時に、地域の環境保全に貢献することでもあるといえます。
建ててからの繋がりも大切
昨今、建てた家をメンテナンスする事の出来る技術を持った職人の減少が問題視されています。せっかく想いを込めて建てた家を維持管理していくには信頼して相談メンテナンスを頼める顔の見える職人や工務店が必要です。
日常生活においては住み手が愛着をもって手を入れ維持管理していく事が一番大切な事ですが、自然災害やトラブルなどで大掛かりに手を入れないといけない時にかかりつけ医のように安心して頼れる工務店との繋がりがあるという事が家を適切に維持管理できるかという点で重要な要素となってきます。
今住む為だけでなく、次の世代での家の利用価値・資産価値を維持できるという視点においてもメンテナンスは必要な投資と捉える事ができるのではないでしょうか。
ZENでは造り手として、家づくりを任せていただいたお施主さんに10年20年・・・先にも安心して頼って貰える存在であり続ける為に、大工職人の育成と技術継承。そして、日々進歩する専門分野の協力業者との知識・技術共有を大切にしています。
ZENには家づくりと家守りの考え方に共感したスタッフ・職人、そして住み手が自然と集まってきます。
時代と共に人は変われど同じ想いを継承していくZEN。
期待と信頼を寄せてくれる、住み手・職人・地域の方々・スタッフのコミュニティが少しずつ広がり、住環境の向上とZENで建てる家の資産価値向上、そして何より信頼され続ける掛かりつけ医のような存在でありつづける為に、日々誠実に。感謝を持って。
家づくりへの想い
住み手と描く丁寧で優しい暮らし
良いものづくりは誰かを想う気持ちから生まれる
贅沢でなくていい
心地よい肌着のような住宅を
HOUSE ZEN
このブログを書いたのは…
花崎哲矢
・一級建築士
・宅地建物取引士
・ファイナンシャルプランナー
生活の中心に猫あり 人目線から猫目線の設計まで