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一級建築士ブログ
吹抜けってあった方がいいの?

一戸建てのお家でないとなかなか見られない吹抜け。あこがれを持っておられる方もいれば温熱面などでネガティブなイメージを持っておられる方もいると思います。
今回はそんな吹抜けのメリットとデメリットについて解説していきます。

吹抜けのメリット

一つ目は光です。
吹抜けは多くの光を取り込むことができます。2層分の高さになるので高い位置に窓を設けることができたり、大きな窓を設けることができるからです。
二つ目は開放感です。
二層分の高さがあるので5m超の天井高さになります。同じ床面積でも天井高さが高い分広々と感じることができます。また天井の高いところ低いところがあることで家の中が広がりのある空間になります。また体積の広い空間になりますので部屋干しの空間としても適しています。
三つ目はつながりです。
吹抜けは上下の階をつなげるものです。吹抜けがなければ床や天井で区切られている上下階の空間をつなげることができます。これによって家の中の一体感が高まります。例えば1階にLDK、2階に個室があるとすると、吹抜けで上下階がつながることでLDKと個室の心理的な距離感が近くなります。

吹抜けのデメリット

続いてデメリットです。
一つ目は空調ロスです。
空間が広くなるので空調が上下階に分散してしまいます。つまり吹抜けがない時よりも多くの空調エネルギーを必要とします。しかし逆に言えば吹抜けでつながっている空間すべてを空調するのでヒートショックなどの原因となる家の中での温度差を小さくすることができます。
二つ目は床面の冷えです。
冬の夜間に空調を切ると外壁から冷気が伝わってきます。内部に入って冷気は下に移動するため壁面の大きな吹抜けの下は冷気が集まるような現象が起きることがあります。この結果床面が冷やされるのです。もちろん断熱性の高い家であれば冷気自体が少なくなるので影響は限定的ですが、空調をかけている時間が極端に短いなど十分に熱が供給されていない室内空間ではこのようなことが起きる可能性があります。
三つめは音です。
これはつながりと表裏一体のですが、音を遮断するものがないのでLDKや個室で発生した音が吹抜けを介して家全体に聞こえることになります。このような音のつながりを心理的距離感が近いととるのか、騒音ととるのか、ということになります。

まとめ
吹抜けは空間的に非常に魅力的なものですが、きちんとメリットとデメリットを整理して、自分たちにあった住まいを考えていくことが大切です。
